[SONI] MIDNIGHT DRIVE BLOG ep.82
花
桜が満開の三月のある日、
あたたかさと、どこか満たされない寂しさを感じる。
それぞれの物語を胸に、見上げる桜は、どんな姿なのだろう。
ただ美しいだけかもしれないし、
その中に、かすかな寂しさが咲いているのかもしれない。
それでも皆、どこか穏やかな微笑みを湛えている。
春を告げる空気、雨、そして花々。
私たちは毎年それを迎えるが、
彼らは情熱のままに咲き、やがて潔く散っていく。
きっと、私たちも同じだ。
いつかそれぞれ、どこかへ帰っていく存在なのだから。
あの頃の、手に負えなかった友人たちも、
社会で出会った仲間たちも、
熱く愛し合った恋人も、
あの時、私のすべてだったものたちも
今となっては、少しずつ霞んでいく物語に過ぎない。
寂しさはある。
それでも、あの花のように、
自分の季節を、情熱のままに生きてみよう。
たとえ色褪せたとしても、
あれが確かに、自分のすべてだったという真実を、
この世界にそっと告げながら。
執着する必要はない。
けれど、確かに抱きしめて生きていこう。
あの桜のように後悔のないように。
